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察される。
(2)懸濁物質の浄化性能
夏場、外水域の透明度が概して0.5〜2.0mの間を変動したのに対し、内水域の透明度はおおむね2?以上を維持した。秋期から冬期にかけては、外水域の清澄度も高くなり、内、外水域共に透明度板が着底しても識別できることが多くあった。このような時期においても、白色円板の像の鮮明度を比較すると、内水域のほうが清澄度の高いことが確認された。
Fi8-3,Fig-4はそれぞれ、水温、SS濃度の月平均値の季節変動を表す。透明度の浄化効果が認められた1993年8月中旬以降は、台風、青潮の時期を除くと、内水域のSS濃度は、およそ5mg/l以下を維持した。1993年9月以降のSSの月平均値を時期別にみると、月平均気温が25℃以上となった7,8,9月は、外水域の平均SS濃度が6〜9mg/lであったのに対し、内水位では1〜4mg/lと低く維持された。月平均気温が10℃を下回った12〜3月には、外水域のSS濃度も下がり2〜4mg/lとなったが、内水域はさらに低く1〜2mg/lであった。これら内水域と外水位域のSS濃度の月平均値の比をとると、7、8、9月が0.2〜0.5、12〜3月が0.5となった。
Fig-5に示すとおり、クロロフィルaのSSに占める重量比はおよそ0.05〜1.4%の範囲にあり、植物プランクトン中のクロロフィルa重量比として知られる0.5〜1.2%より数値の幅が大きい。ただし、台風時以外のデータのうち、SS濃度が5mg/l以上のサンプルについてはクロロフィルaの重量比が0.5〜1.0%にあり文献値とよく一致した。このことより、台風等の特殊な条件の時を除けば、海域が著しく汚濁したときのSSの主成分は、植物プランクトンと考えられるFig-6は、内水域と外水域のクロロフィル濃度を比較したものであるが、 内水域のほうが濃度は低く、おおむね外水域の50%以下であった。
(3)CODMnの浄化性能
内水域と外水域のCODMn濃度を比較してみると、SS濃度と同様、透明度の違いが明確になった1993年8月中旬から、浄化効果が認められるようになった。
1993年9月以降のCODMnの月平均値は外水域が2〜8mg/l、内水域が1〜5mg/lであり、内水域と外水域の月平均値の比は0.5〜0.8となった。CODMNのうち水溶性成分については、外水域の月平均値が1〜6mg/l、内水域が1〜4mg/lであり、その濃度比は0.7〜0.9であった。これらの結果より、水溶性CODMnの浄化効果も認められたが、CODMnの浄化効果としては懸濁性成分によるところが大であった。
(4)リン、窒素の浄化性能
内水域と外水域のリン、窒素それぞれの全量濃度を比較してみると、大部分の調査時において、内水域の

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Fig-3 Seasonal change of temperature

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Fig-4 Seasonal change of SS consentration

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Fig-5 Relationship between SS concentration and chlorophyll concentration.b=(chlorophyll)/(SS).

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Fig-6 Comparison of chlorophyll concentrations between water inside and outside the facility.c=(chlorophyll[inside])/(chlorophyll[outside]).

 

 

 

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